
バーチャルライブの制作現場では、モーションキャプチャーで取得した動きをリアルタイムで3Dキャラクターに反映し、実写映像と合成して配信するという複雑なワークフローが求められます。アイ・ペアーズ株式会社は、3Dキャラクターを使用した映像投影型ライブイベントに特化した「次世代型バーチャルライブ制作サービス」の提供を開始しました。
光学式モーションキャプチャーシステム「OptiTrack」と自社開発のリターゲティング技術「n-Links Retarget」を基盤とし、企画から本番のオペレーションまでをワンストップで対応します。
サービスの技術的な基盤
本サービスの核となるのが、OptiTrackによる光学式モーションキャプチャーと、アイ・ペアーズが自社開発した「n-Links Retarget」です。光学式モーションキャプチャーで取得したモーションデータを、n-Links Retargetがリアルタイムで3Dキャラクターモデルの骨格に最適化して反映します。アクターの動きがそのままキャラクターの動きとして即座に表示される環境を実現しています。
さらに、光学式「OptiTrack」と慣性式「Xsens」を混在させた環境での多人数同時リターゲットに対応している点も特徴です。光学式と慣性式それぞれの特性を活かしながら、最大10名のキャラクターを同時に動かすことができます。グループVTuberのライブや大型バーチャルコンサートなど、出演者の多い企画への対応力を高めています。
バーチャルプロダクションによるリアルタイム合成
バーチャルプロダクション技術を活用し、CGキャラクターの映像と実写の背景をリアルタイムで合成することができます。スイッチャーを用いた映像統合により、CGキャラクターと実写の人物が共演するライブ映像をリアルタイムで配信することも可能です。従来は収録後の編集工程で行っていたCGと実写の合成を本番中にリアルタイムで実現することで、ライブ演出の表現の幅が大きく広がります。
GPAP連携による循環型制作ワークフロー
ヤマハ株式会社の「GPAP」との連携による新しいワークフローの開発も進めています。GPAPはDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)上でモーション・音声・照明・レーザーなど複数の演出要素を一括管理できるシステムです。この連携により、本公演後に衣装やモーションなどを柔軟に修正・変更して国内外での再公演を可能とする「循環型制作ワークフロー」の実現を目指しています。後編集・再収録なしに複数回の公演を展開できる仕組みは、バーチャルライブ制作のコスト構造を変える可能性を持ちます。
サービスの対応範囲
本サービスは技術提供にとどまらず、バーチャルライブイベントに必要な要素を幅広くカバーしています。映像・音声・BGM制作から3Dキャラクターモデル・モーション制作、ステージ設営、映像・音響オペレーション、イベント運営のアドバイス、声優・MCなどの出演者手配まで対応しています。必要な部分のみの利用も可能で、料金は依頼内容に応じた個別見積もり制です。
まとめ
今回は、アイ・ペアーズ株式会社の「次世代型バーチャルライブ制作サービス」について紹介しました。
OptiTrack×Xsens混在環境での最大10名同時リターゲットとGPAP連携による循環型ワークフローは、規模と効率の両面でバーチャルライブ制作の課題に応えるものです。こうしたワンストップサービスの登場が、今後の業界の制作スタンダードに影響を与えていくかもしれません。
