絵コンテなしで演出をその場で決める。カヤックのバーチャルカメラ技術「ジャンヌ・ダルク」がアニメ制作に採用

モーションキャプチャーはキャラクターの動きを記録するための技術として知られていますが、近年はカメラワークそのものをキャプチャーするという新たな活用が広がっています。株式会社カヤックが自社開発したバーチャルカメラシステム「ジャンヌ・ダルク」は、TVアニメ『魔法の姉妹ルルットリリィ』の歌唱・ライブシーン制作に採用され、モーションキャプチャーとバーチャルカメラを組み合わせた新しい制作ワークフローとして注目されています。

目次

バーチャルカメラ「ジャンヌ・ダルク」とは

「ジャンヌ・ダルク」は、カヤックが開発したバーチャルカメラシステムです。モーションキャプチャーで収録した演者の動きをバーチャル空間に配置したうえで、VRデバイスをカメラに見立てて監督やカメラマンが空間内を実際に動き回りながらカメラワークを決定します。

従来のアニメ制作では、カメラアングルや動きは絵コンテや指示書という形で事前に設計し、それをアニメーターが再現するという工程が一般的でした。「ジャンヌ・ダルク」では、演出意図を言語や図で伝える工程を省き、監督自身がVR空間内でカメラを操作することでリアルタイムに構図を決定することができます。

アニメ『魔法の姉妹ルルットリリィ』への採用

「ジャンヌ・ダルク」が採用されたのは、スタジオぴえろ制作のTVアニメ『魔法の姉妹ルルットリリィ』の歌唱・ライブシーンです。2026年4月より TOKYO MX ほかで放送されています。

同作品においてカヤックのXRクリエイターは「直感とフィジカルを使って収録したカメラデータはそのまま本番データとして使用することで、アニメーターやエフェクトとの連携もスムーズ」と述べています。収録時に監督が動かしたカメラの動きが、そのまま本番映像のカメラワークとして使用されるワークフローは、制作過程における修正や調整の工程を大幅に削減することにもつながります。

モーキャプ×バーチャルカメラが制作現場にもたらすもの


「ジャンヌ・ダルク」の仕組みは、モーションキャプチャーの用途をキャラクターの動きだけでなく「カメラの動き」にまで広げたものといえます。演者の動きとカメラワークの両方をキャプチャーしてバーチャル空間上で完結させることで、従来は複数の工程に分散していた作業を一つの撮影セッションに集約できます。

特に歌唱・ダンスシーンのような全身の動きが重要なシーンでは、演者の動きとカメラの動きが密接に連動するため、同時にキャプチャーすることで生まれるリズムや躍動感のシンクロは、事前設計では得にくい表現といえます。

また、こうしたバーチャルカメラ技術はアニメ制作にとどまらず、VTuberのライブ演出・ゲームのカットシーン制作・バーチャルプロダクションなど、リアルタイムCGを使う幅広い映像制作現場への応用が期待されます。

まとめ

今回は、カヤックのバーチャルカメラシステム「ジャンヌ・ダルク」とアニメ制作への採用事例を紹介しました。

モーションキャプチャーとバーチャルカメラを組み合わせ、絵コンテを介さずに演出意図をそのまま映像に反映するというアプローチは、制作効率の向上だけでなく、監督の直感や身体感覚を映像表現に直接活かせるという点でも意義のある取り組みです。カメラワーク自体をキャプチャーするという発想が、今後の映像制作のワークフローをどのように変えていくか、注目していきたいと思います。

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