実写映像とCGキャラクターを自動合成!映像制作を変えるクラウドツール「Autodesk Flow Studio」とは

映像制作の現場において、実写映像とCGキャラクターを組み合わせた表現はこれまで高度な技術と大きなコストを必要とするものでした。専門のスタジオを用意し、モーションキャプチャ機材を揃え、複数の工程を経てようやく完成するのが一般的です。しかし近年、AIの進化によってそのハードルは急速に下がりつつあります。

そうした流れの中で注目されているのが、Autodesk(オートデスク)が提供するクラウドベースの制作プラットフォーム「Autodesk Flow Studio」です。専用スタジオや特別な機材がなくても、AIが映像解析からCGキャラクターの合成までを自動化してくれるこのツールは、映像クリエイターやVTuberなど、幅広いクリエイターから注目を集めています。

本記事では、Autodesk Flow Studioの基本的な概要から主な機能、そして2026年5月に新たに追加された生成AIモデル「Wonder 3D」まで、まとめて紹介します。

目次

Autodesk Flow Studioとは?

Autodesk Flow Studio(旧称:Wonder Studio)は、AIを活用して実写映像からCGキャラクターの制作・アニメーション・コンポジットまでを効率化するクラウドベースの制作プラットフォームです。MayaやMotionBuilderなどのプロフェッショナル向けツールを長年提供してきたAutodeskが開発しており、映像制作ワークフロー全体の自動化と効率化を目指して設計されています。

最大の特徴は、すでに撮影した実写映像とCGキャラクターをAIが自動で合成できる点です。映像解析・モーションキャプチャ・カメラトラッキング・クリーンプレート生成など、従来は多くの手作業が必要だった工程をAIが担うことで、制作にかかる時間とコストを大幅に削減することができます。

また、出力したデータをMayaやBlenderなどの既存の制作環境に連携できるため、普段のワークフローを大きく変えることなく導入できる点も魅力のひとつです。

Autodesk Flow Studio 概要

項目内容
正式名称Autodesk Flow Studio(旧称:Wonder Studio)
提供形態クラウドベース(Webブラウザで利用可能)
主な機能実写×CG合成、モーションキャプチャ、カメラトラッキング、3Dアセット生成(Wonder 3D)など
連携ツールMaya、Blender、各種ゲームエンジン
利用プラン無料〜Enterpriseプラン(クレジット制)
公式サイトhttps://www.autodesk.com/jp/products/flow-studio/overview

Flow Studioでできること

Autodesk Flow Studioには、映像制作をトータルでサポートする複数のモードが用意されています。

実写×CG合成(Live Action)
撮影済みの実写映像にCGキャラクターを自動合成する、Flow Studioの中核となる機能です。AIが映像内の人物の動きを解析し、3Dキャラクターの動きとして置き換えます。専用のトラッキングスーツや機材を身につけることなく撮影できるため、普段通りの環境で収録した映像をそのままアップロードするだけで制作を進めることができます。「Live Action Easy」と「Live Action Advanced」の2種類があり、用途に応じて選択可能です。

AIモーションキャプチャ(AI Motion Capture)
映像内の人物の身体の動きをAIが解析し、モーションデータとして書き出す機能です。取り出したモーションデータはMayaやBlenderなどに取り込んで活用することができ、ゲームや3Dアニメーションの制作にも応用できます。

映像から3Dシーンへの変換(Animation/Video to 3D Scene)
複数のカットで構成された映像からでも、一連の動きとして3Dシーンを生成することができます。隠れた部分のモーションをAIが予測してキャプチャする機能も備えており、撮影条件が完璧でない映像にも対応しています。

新機能「Wonder 3D」が追加

2026年5月、Autodesk Flow Studioに新たな生成AIモデル「Wonder 3D」が追加されました。これまでのFlow Studioは「実写映像を素材にしてCGを合成する」ことが主な用途でしたが、Wonder 3Dの追加によって「3Dアセットそのものを生成する」機能までをプラットフォーム内で完結できるようになりました。

Wonder 3Dは、テキストプロンプトや参考画像を入力するだけで、編集可能な3Dキャラクターやオブジェクトを自動生成できる機能です。生成されたモデルは後工程でMayaやBlenderを使って自由に編集・調整でき、実際の制作ワークフローへ直接組み込める点が特徴です。

Autodeskは「AIがクリエイターを置き換えるのではなく、反復作業を減らし、創造的な意思決定に集中できる環境を提供する」ことを重視していると説明しています。「完璧なモデルを一度で作る」ことではなく、「高速にアイデアを試し、何度でも改善できる環境」を提供することに重点を置いたツールと言えるでしょう。

Wonder 3Dの主な機能

Wonder 3Dには、3Dコンテンツ制作を加速するための3つの主要機能が搭載されています。

Text to 3D

テキストプロンプトを入力するだけで、AIが3Dキャラクターや小道具、オブジェクトを自動生成する機能です。生成されるアセットは編集可能な3Dデータとして出力され、後工程での修正や再利用にも対応しています。コンセプト段階のアイデアを短時間で3D化できるため、ゲーム制作・映像制作・XR開発などの初期工程を大幅に高速化することが期待されています。

Image to 3D

コンセプトアート、ラフスケッチ、写真などの2D画像を読み込み、AIが自動的に3Dジオメトリへ変換する機能です。従来は3Dモデラーが手作業で再構築していた工程を大幅に短縮できます。デザイン検討段階での試作やバリエーション制作を高速に繰り返せるようになるため、より多くのアイデアを素早く試すことが可能になります。

Text to Image/Edit Image

いきなり3D制作に入るのではなく、まずText to Image機能で2Dビジュアルを生成し、方向性を確認してから3D化するワークフローにも対応しています。さらに、生成した2D画像をAI上で直接編集できる「Edit Image」機能も搭載されており、色味やデザイン要素、構図などをゼロから作り直すことなく調整することができます。

Wonder 3Dの活用シーン

Wonder 3Dが想定する活用シーンは幅広く、以下のような用途での利用が期待されています。

ゲーム開発向けキャラクター・プロップ制作
テキストや画像から素早くキャラクターや小道具の3Dモデルを生成し、ゲームエンジンへの組み込みまでの工程を効率化できます。従来は熟練したモデラーが数日〜数週間かけて制作していたようなアセットを、短時間でプロトタイプとして用意できるため、開発初期のコンセプト検討や仕様確認のスピードが大幅に上がります。バリエーション違いのキャラクターやアイテムを量産する際にも、AIによる生成を起点にすることで制作コストを抑えられるでしょう。

映像制作向けコンセプトアート
映像制作の初期段階では、監督やクライアントとのビジョン共有が重要です。Wonder 3Dを使えば、テキストや参考画像をもとに3Dビジュアルを素早く生成し、シーンのイメージをチーム全体で具体的に確認することができます。言葉だけでは伝わりにくいキャラクターのシルエットや世界観を視覚化することで、制作序盤での認識のズレを防ぎ、手戻りのリスクを低減する効果も期待できます。

XR・バーチャルプロダクション向け3Dアセット生成
VRやAR、バーチャルプロダクションの現場では、大量の3Dアセットを短期間で用意する必要があるケースが少なくありません。Wonder 3Dを活用することで、背景オブジェクトや小道具といったアセットを効率よく量産することができます。VTuber活動においても、配信シーンを彩る3Dオブジェクトや小物類の制作に応用できる可能性があり、コンテンツの表現の幅を広げる手段として注目されています。

3Dプリント向け試作モデル制作
製品デザインやフィギュア制作など、3Dプリントを前提とした試作モデルの制作にも活用できます。アイデアをテキストや画像で入力するだけで大まかな3Dフォルムを生成し、そこから細部を調整していくワークフローを取ることができるため、アイデア出しから試作までのスピードが大幅に向上します。専門的なモデリングスキルがなくても3Dプリントの試作に踏み出せる点は、個人クリエイターやスタートアップにとって大きなメリットとなるでしょう。

広告・SNSコンテンツ向け3Dビジュアル生成
広告やSNS投稿において、3Dビジュアルを使ったコンテンツは高い訴求力を持ちます。しかしこれまでは制作コストや専門知識の壁から、限られたプロジェクトにしか活用されてきませんでした。Wonder 3Dを使えば、3D制作の専門知識がないマーケターやデザイナーでも、イメージをテキストで入力するだけで3Dビジュアルのベースを生成することができます。短いサイクルで複数のビジュアル案を試せるため、A/Bテストや訴求軸の検討にも有効です。

生成されたモデルはOBJ形式などでエクスポートが可能で、Maya・Blender・各種ゲームエンジンなど既存の制作環境へスムーズに接続できます。

利用プランと料金体系

Autodesk Flow StudioはWebブラウザから利用でき、プランは無料(Free)からEnterpriseプランまで幅広く展開されています。Wonder 3Dを含むAI生成機能はクレジット制で提供されており、利用するAIモデルや生成内容によって消費クレジット数が異なります。同時生成数やエクスポート機能などもプランによって異なるため、用途に合わせて選択するとよいでしょう。

プラン特徴
Free無料で基本機能を試せるプラン
Liteショート動画・一部シーンへの利用に適したプラン
Standard中規模の制作に対応したプラン
Pro本格的な制作活動向けのプラン
Enterpriseオートデスクへの問い合わせが必要な大規模向けプラン

詳細な料金プランの比較はこちら(Autodesk公式サイト)から確認できます。

まとめ

今回は、Autodeskのクラウドベース制作プラットフォーム「Autodesk Flow Studio」と、2026年5月に新たに追加された生成AIモデル「Wonder 3D」について紹介しました。

実写映像とCGキャラクターの合成を自動化するFlow Studioは、映像制作のハードルを大きく下げるツールです。そこにWonder 3Dが加わったことで、3Dアセットの生成から映像合成まで、制作のより広い範囲をひとつのプラットフォームで完結できるようになりました。

映像制作・ゲーム開発・VTuberコンテンツ制作など、3Dコンテンツに関わるさまざまなクリエイターにとって、試してみる価値のあるツールと言えるでしょう。まずは無料プランから始めてみてはいかがでしょうか。

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