モーキャプDBで掲載されている都内のスタジオに直接訪問をして、取材を行う企画
「東京モーションキャプチャスタジオ特集」
今回は、株式会社グリオグルーヴが運営されている
モーションキャプチャスタジオ「スタジオイブキ」に行ってきました!
案内してくださったのは、株式会社グリオグルーヴ アニマロイドチーム プロデューサーの後藤氏です。
今回は後藤さんにスタジオイブキの歴史やその魅力について取材してきましたので、ぜひ最後までご覧ください。
スタジオイブキ運営の歴史
まずはかんたんに「スタジオイブキ」について教えていただけますか?
実はスタジオイブキは元々「株式会社アニマロイド」の中にありました。
アニマロイドの代表が他にも複数会社を運用しており、それらの組織改編を2016年10月 に行い、株式会社アニマロイドを含めた様々なCG会社を統合し、「株式会社グリオグルーヴ」が設立され、今の形態に至りました。
クライアントさんの中には「スタジオイブキは知っているけど、グリオグルーヴは知らなかった」という方も多くいらっしゃいますね。
素敵なスタジオですがこちらは元々所有していたのですか?
現在使用しているスタジオは、元々、オーナーの『エド・コモン』さんが染め物の展示の為に、半地下にしたスペースなんです。
前は別のスタジオを使用していましたが、移転を考えていたところ、
早稲田にあるこの物件を見つけてスタジオにしました。
スタジオの魅力を解説
スタジオイブキさんはプロップの種類も豊富ですね!
はい、スタジオイブキは今年で24年目になります、これまで様々な案件で使用した道具がありますのでおのずとラインナップが充実していきました。
撮影に使う大道具や小道具など一通り揃っているので、ゲームやCM撮影、映画など
いろいろなお仕事に対応出来る所が魅力のひとつです。
何か機材などにこだわりはありますか?
スタジオイブキでは以前OptitrackとViconの2つの種類のカメラを稼働していた時期がありました。
そのためベルクロでマーカーの位置をカメラの種類ごとに付け替えられる、キャプチャスーツを特注で作り両種とも稼働できるようにしていました。
合わせて、撮影時に使うマーカーは自作していて、丈夫な硬いマーカーと柔らかいマーカーの二種類を用意しています。
柔らかいマーカーはアクターさんがアクションシーンや受け身のポーズでマーカーが身体に当たっても痛くないように作っております。
アクターさんへの配慮も経験豊富だからこその発想ですね!
ちなみに何故現在は「Optitrack」を使用しているのでしょうか?
Optitrackはシリーズが異なっていても、あとから別タイプのカメラを追加できるためOptitrackを現在使用しております。
機材へのこだわりも素晴らしいですね!ではスタジオ運営をしていく上で意識されていることはありますか?
スタジオイブキでは、お客様が1番撮りやすく収録していただくことをモットーとしており、細かい設備など、ご要望にあわせて少しずつ増やしています。
そして案件の5〜6割ほどはリモートで撮影を行っており、このリモート撮影には
Vtuberの運営を行っていた際にライブ配信(生放送)環境を整えておりましたので
コロナ渦をきっかけにリモートでの収録が増え、現在も継続して行える環境となりました。
アクターさんとの関係
イブキさんの公式Xには株式会社モーションアクターのアクターさんがよく登場されますよね!
はい、お互いのスタジオが高田馬場にあることもあり、
「拠点が同じであればお互いにプロモーション活動を行い、知名度を高めましょう!」と、深く交流しています。
株式会社モーションアクターさんだけでなく活劇座さんや他のアクターさんなど、よく撮影に参加されているアクターの方々とも幅広く交流をさせていただいております。
素晴らしい取り組みですし、さすが歴史あるスタジオですね!
ちなみにスタジオで受けた案件で印象に残っているお仕事はありますか?印象に残っているものはCM撮影ですかね。
グリオグルーヴにはCMのCG制作チーム(リンダチーム)があり、その関係でスタジオイブキでもCM内で使用するモーション撮影を行いました。
以来普段スタジオイブキで撮影しているものとはジャンルは異なりますがCM制作のお仕事を依頼されることも時々あります。
その際はCG制作を一括で引き受けることができるので利便性を感じていただき、ご選択いただいているクライアントさんもいらっしゃいますね。
後藤さんに一問一答!
ではここからは一問一答形式でスタジオイブキについて、さらに深堀していきます。
- スタジオの設備で、これから導入していきたいものはありますか?
-
広さがあるのでキャプチャだけじゃなく、実写とかも撮っていただく機会があります。
なので、その辺の機材の充実をもうちょっとしていきたいかなと思っています。
また、AIの活用と実写・キャプチャをどう組み合わせていくか?というところが
今後大きな課題になっていくと思うので、先立って挑戦できたらいいなと思っています。 - モーションキャプチャのここが好き!というポイントを教えてください!
-
クライアントとの距離の近さですね。
私もうちのスタッフも言ってるんですけど、CG業務において基本的にクライアントさんとの関係は、すぐ傍で指示をいただくのではなくディレクターからのチェックバックを間に挟む形になります。
ただモーションキャプチャは割とクライアントさんとのコミュニケーションがとれるんです。
業種でいうとサービス業や接客業にちょっと近いですかね。
距離がかなり近いのでアクターさんやクライアントさんと仲良くなったり、
「これ撮りきれないと思ってたんですけど時間内に収まりました!」みたいな時の歓声や、
私たちとクライアントさん、アクターさんのみんなで作り上げた感じなどが大好きで、仕事の愉しさになっています。
最後に
今回インタビューさせていただいたスタジオイブキは、クライアントを一番に考えていることがひしひしと伝わってきました。
クライアントが驚くところを見たくて改良を積み重ね、はっきりとした目標やテーマをクライアントと一緒に考えながら制作される素敵なスタジオです。
今回インタビューを受けて頂いた後藤さんは、モーキャプ業界が広まることを強く望んでいらっしゃり、各スタジオさんとも助け合っていきたいという熱を感じました。
実際に情報交換を頻繁に行われているようなので、モーキャプDBを運営する私たちもこうしたスタジオさんたちのコミュニケーションの場になって有効活用できるようなメディアに発展していけるよう目指していきます!
Information
・スタジオイブキ公式ブログ
・スタジオイブキ公式X
・スタジオイブキYouTubeチャンネル
▼スタジオイブキとモーションアクターによる参考ダイジェスト
【CEDEC2023_講演資料】参考動画ダイジェスト in スタジオイブキ 株式会社モーションアクター