東京都内のモーションキャプチャスタジオの魅力に迫る「東京モーションキャプチャスタジオ特集」
今回は大規模VR/ARライブを得意とする株式会社LATEGRAが運営しているモーションキャプチャスタジオ「LATEGRA CROSS DOCK XR STUDIO」に訪問し、取材させていただきました!
今回案内して下さったのは、広報担当の松本さんとテクニカルプロデューサーの渡辺さんです。
Information
株式会社LATEGRA LATEGRA CROSS DOCK XR STUDIO
スタジオ情報|https://mocapdb.com/studio/std1501/
〒104-0053
東京都中央区晴海4-7-4 CROSS DOCK HARUMI 402
TEL|050-3358-3079
お洒落な内装が目を引く魅力満載なスタジオ
まず受付から会議室、ワークスペースを通ってモーションキャプチャスタジオまで案内していただいたのですが、さすがリアル・バーチャル双方の空間をプロデュースされている会社。
オフィスの隅々までこだわり抜かれたデザインにテンションが上がりました!
洗練された内装は、思わず靴を脱いで上がってしまいそうなほど清潔感にあふれています。
オフィスにはLATEGRAさんが携わったイベント『超歌舞伎』を初めとした、数々の制作実績の写真が飾られているコーナーもありました。
レイアウトは自由自在!桁違いに広いモーションキャプチャスタジオ!
収録人数はレコーディングなら10人、リアルタイム配信なら5人となっています。
さらに、アクティングエリアの外にも広いフリースペースが確保されているので、機材を組んだり、大勢のスタッフが余裕をもってオペレーション・ディレクションに取り組むことができます。
電源も確保されているので、企画にあわせて様々な機材を用意できる自由度が特徴。
この設備はライブ経験が豊富なクライアントさんからも大好評だそうです!
細かなところにも配慮された設計
まず、スタジオの床には特殊素材が使用されていること。
この床は防音性があるだけでなく、適度な柔軟性があるのでダンサーさんの疲労を軽減することができるのです。
さらに、様々な企画を考慮した小道具も用意されています。
スカートのアタリを用意し、CGモデルの“めり込みを予防する“などの工夫は、VRライブの経験豊富なLATEGRAさんだからこその気づきだと感じました。
今後はゲームモーションの収録も視野に入れているので、刀などのアクション向けの小道具を用意していくそうです!
モデリングから配信まで、ワンストップで制作可能
クライアントさんのやりたいことに合わせて必要な3DCGモデルの制作や、テクニカルスタッフが検証を行うことができ、収録後のブラッシュアップも一貫して行うことが可能。
なので、ブレることなくハイクオリティな映像を制作することができるのです!
また、スタッフが常駐しているため、スタジオが空いている日には各部門が連携して技術検証を行い、日々たゆまず技術を磨き上げています。
松本さん、渡辺さんにインタビュー!
- スタジオ設立のあらましを教えていただけますか?
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(松本さん)元々XRライブを作っているということもあり、自社スタジオを持つことで検証などを容易にするという目的で設立しました。
過去3度の移転を経験しましたが、案件の規模が拡大するのに合わせてスタジオも移転のたびに大きくなっていきました。
- 当初はどのぐらいの規模のスタジオだったのでしょうか?
-
(松本さん)オフィスの中に簡易的に作ったスタジオが始まりでした。
当時は社員数も20人程度でしたが、今は60人規模になり案件も大規模になっていきました。 - 現在のスタジオはいつ設立しましたか?
-
(松本さん)2021年の4月です。
このスタジオは倉庫をリノベーションし、現在の形にしました。駅から少し遠いところにスタジオがあると思うのですが、交通が良い都心はどうしても狭いところが多いので、多少遠くても敷地が広いところを重視しました。海も近く街が開放的なので、ゆったりとした空気の中でクリエイティビティを研ぎ澄ましながらものづくりに没頭できる、そんな場所です。
- スタジオの設備の特徴を教えてください
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(松本さん)特徴としては、広いフリースペース、同時収録・リアルタイム配信に必要な機材や人材が揃っていることが挙げられます。それによって、さまざまなクライアントのご要望に柔軟に対応できています。
アクティングエリアにはグリーンバック、暗幕、鏡などもあります。
また、テクニカルエンジニアも揃っているので、案件に合わせてメンバーをアサインして、3DCG制作も含めてワンストップで引き受けることができます。
控室や更衣室、会議室など様々な用途に使えるように部屋を備えているので、カスタマイズしやすく使い勝手の良い設備になっていると思います。
- 特に印象深かったお仕事のエピソードを教えてください!
-
(渡辺さん)このスタジオでいうと、『洛天依(ルォ・テンイ)』という中国のVOCALOIDの生誕10周年のコンテンツ制作ですね。
洛天依10周年誕生日ライブを見せていただきました!
(渡辺さん)洛天依10周年誕生日ライブはここで撮影しました。
- 『洛天依(ルォ・テンイ)』をきっかけにLATEGRAさんが有名になったそうですね!
-
(渡辺さん)そうですね。逆輸入的な感じですね。
当時まだVtuberが黎明期で国内では予算をかけた案件はありませんでした。中国で先行してCGキャラクターを出演させる機会と経験を積んだおかげで、今のVtuberの案件に繋がっているというところがあります。
この作品はVRゴーグルを着けて観るのではなく、フルCGのライブになります。
いま観ると、もっとクオリティを上げたいなと思うところが沢山見つかります! - ステージの観客は実際の人たちが観ているんでしょうか?
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(渡辺さん)実は一人の人間がサイリウムを振っていて、そのデータをコピーしたりプログラムで動きをずらしたりして作っています。
この映像はUnityのHDRPで制作しています。Unityでも物理ベースで制作すればUnrealEngineに負けないフォトリアルな表現が可能です。
LATEGRAのライブコンテンツは多種多様なデバイスを弊社エンジニア達がプログラムするため、その辺りの自由度が高いUnityを選択する事が多いです。
このコンテンツはUnityVRsystemと写実的なライブ表現を両立させた挑戦的かつ意欲的な作品となりました。
言うまでもありませんがプリレンダリングではなくリアルタイムレンダリングであることもLATEGRAならではです。
- なるほど!リターゲット処理もされているんですか?
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(渡辺さん)リアルタイム、ポスプロ、どちらのリターゲット作業もしています。
洛天依10周年誕生日ライブはそのほとんどをポスプロ処理しています。キャラクターがVOCALOIDという事もあり、丁寧な作業が求められます。
その甲斐あってトータルの完成度はかなり高いものとなりました。 - カメラワークも素晴らしいですが、どのように制作されたのでしょうか?
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(渡辺さん)この映像のカメラワークは、実際のカメラマンが撮影したものになります。
VRの空間と言えど3D空間を撮影するには、長年培われたリアルライブの技法、リアルのプロフェッショナルの力が必要です。VRで可能となった空間を切り出すプロ達の映像美は素晴らしいです。
実時間でCGが動かなければその場で複数台複数人のカメラワークコンビネーションは出来ませんから。
照明に関してもリアルの照明デザイナーがVR空間を染めています。
これも前述 のとおりリアルタイムレンダリングだからこそ可能な技術です。私自身元々リアルの映像制作に関わっていたので、カメラワークへのこだわりが強すぎるという面があります。
手前味噌ですが、これほどのVRライブは中々お目にかかれないと自負しています。
- これからどのような方とコンテンツを作っていきたいですか?
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(松本さん)まず私たちはライブ屋なので、IPを持っているクライアントさんや、企業のPRのためのリアルタイム配信、そしてAR/VRライブが得意です。
なので、そういった、IPを世界に輩出していきたい企業の方々に利用してほしいですね。CG制作から依頼したいというクライアントさんも歓迎です。
- モーションキャプチャのここが好き、というポイントを教えてください!
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(渡辺さん)自分はあまり意識したことがないですね。
しかし、良くも悪くもキャラクターとアクターさんのギャップがあるのが面白いと感じています。女性役を男性アクターさんが行ったり、逆もあったり。一つのキャラクターをご本人、ダンサー、殺陣師の方など別々で行う事もありますし、それが可能なのもモーションキャプチャの面白さです。
最後に
今回の取材を通して、LATEGRAさんの作品に対する情熱やこだわりを聞くことができました!
クライアントの大事なブランドを高いクオリティで維持するために、日々技術の研究や検証を重ねている素晴らしいスタジオです!
他スタジオさんと積極的に協業や技術共有を行っていきたいともおっしゃっていたので、モーキャプ業界を今以上に盛り上げていきたいという想いを強く感じました!
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